「萩花」

「は、はい!」

「もう帰る?」

「う、うん。そのつもり」

「じゃ、俺も帰る。
萩花に聞きたいことできたし」

さっと手を握られる。まるでそうすることが決まっていたかのようにごく自然に。

え、どういうこと?

私たち、喧嘩してたはず。
怒ってないの?

「転ぶなよ。
結構飲んだの?」

「酔いがさめてきたかも。
まだ飲みたい」

「俺も」

普通に会話ができてる。

…よかった。
ひとまず胸を撫で下ろす。

それから、まだ飲みたいと意見の一致した私たちは、拓斗くんがよく行くというバーへと向かったのだった。