「なんかごめんね。
彼氏が謝りたいから今から会ってほしいだって。
だから、拓斗との結婚の話は無しね!

じゃね」

満面の笑みで軽やかにホテルの中へ消えていった。

え…。
彼氏、いたの?

へー…。

ぽつん。

残されて立ち尽くしている私たちには、そんな表現がとてもしっくりくる。

風がさっきよりも冷たく感じるのは気のせいでしょうか?
全く状況が掴めないのはお酒のせいなのでしょうか?

「美琴、彼氏と喧嘩してたんだって。
彼氏を見返すために俺に言い寄って来てたんだろうな」

なんと…。

「そうだったんだ…」

何も知らなかったのは私だけか。

どうしよう。
穴があったら入って出てきたくないくらい恥ずかしい。

拓斗くんが何を言い出すのか、次の一言が怖すぎる。

私はどうなってしまうんでしょうか。