「つぼみっ!」

俯いて歩いていると、前方から私の名前を呼

ぶ声が聞こえた。慌てて声の聞こえる方を見

ると、ひろくんが立っていた。

「ひろくん…。」

私の名前を呼び、ゆっくり歩み寄るひろくん

の表情は昨日までと変わらず、優しい笑顔だ

った。

「おはよう、つぼみ。」

「お、おはよ…。」

気まずい…。ひろくんは何も言わずに私の隣

を歩く。

「ひろくん。ごめんなさい!」

私はひろくんを傷つけた。でも、だからって

望夢を好きなままひろくんと付き合えない。

だから、ちゃんと断らなきゃ。

「私、やっぱり望夢が好きなの。この先の未

来もずっと望夢を愛するって約束したか

ら。」