side蓮
『……っ』
「咲良っ!!」
かけだした咲良を追いかけるようにして席を立つ。
「待て、蓮。一人にしてやれよ。」
ドア横に青山が立っていた。
俺に行かせないつもりだ。
「このクソ山!!そこどけよ!!無理矢理でもどかすぞ!!」
「行ってどうするんだよ。なにか言えんのかよ。"あの時"と同じになるのが見えてんだよ。」
"あの時"という単語が嫌でも耳についてきた。
「ちっ…どうしたらいいんだよ俺は……」
また。
あの時みたいに俺は見てるだけなのか……
俺、ほんっと情けない。
追いかける力もなく、席へと戻る。
「蓮、冷静になれよ。」
ぽん、と肩を叩く青山。
「変な言葉かけるよりも、咲良の近くに黙っていてあげたらいいんじゃねーの?」

