さて、と。
俺は携帯を手に取り名刺の番号を入力する。
______プルルルル…
[はいー?どちらさまー?]
[あの…昨日助けた……者です]
なんて言ったらいいか分からずしどろもどろになってしまった。
[……ああ!あのヒーローさんね!お礼は何か決まったのかしら??]
よく聞くと咲良に似たような透き通っている声だ。
「咲良を……咲良を助けたいんです」
そういうと電話の奥でガシャンと何かが割れる音がした。
「い……今なんて……今…あの子の名前……どうして……」
話が通じた。
本当に咲良の母親だったんだ。
「あの、俺、咲良を助けたくて。そのためにはあなたの力が必要で、ここまで追ってきたんです。どうか力を貸してくれないでしょうか。」
「……わぁぁぁんん!!!!!咲良があああ!なにがあったのよぉーーーーっ!!!!」
向こうで母親が盛大に泣き出し、落ち着く様子もなかったので30分後会社に来いと秘書的な人に言われた。
……とりあえず母親と会えることになった。

