全員が席についたのをみはからって、アラシとナギは大きなお盆を運んできました。
そこにはトマトソースでじっくり煮込んだロールキャベツのお皿が四枚。


それをテーブルの中央に置くと、アラシが言います。


「みなさん、ここにロールキャベツが四つあります。どうぞ、お好きな皿を選んでください」


「大きさは同じだな」と、ダルマガエル。


「トマトソースで真っ赤だし、目印のようなものはないですね」と、アマガエル。


「美味しそうな匂いだな」と、ウシガエル。


彼らは次々に好きな皿を取って自分の前に置きました。
最後に残った一枚をトノサマガエルが手に取り、こう言いました。


「さあ、みんな、よく見ておくれ。君たちが選んでから、私は残った皿を取った。そして料理を作ったのはこの猫たちである。これはズルではないと言えるかな?」


三匹のカエルは「わかった」と口を揃えて頷きます。
それを見届けると、ヒキガエルが「では、実食!」と高らかに声を張り上げました。


カエルたちはロールキャベツにナイフを入れていきます。
アラシとナギはドキドキしながら、その様子を見守っていました。