さて、約束の時間になりました。
外から賑やかな歌声が近づいてきます。


ゲロゲロ、ゲゲゲッ、モーモー、ゲロロ。
ゲロゲロ、ゲゲゲッ、モーモー、ゲロロ。
年の初めのくじ引きを、しきり直しじゃ、ゲロゲロゲ。
誰が殿様になっても泣くでない、鳴いて祝えよ、ゲロゲロゲ。


歌が終わると、あのヒキガエルが扉を開けました。


「お殿様のおなり」


アラシとナギは思わず深いお辞儀をします。


「苦しゅうないぞ、面をあげよ」


目の前に立っていたのは、凛々しい顔をしたトノサマガエルでした。
その後ろにはヒキガエルの他に、三匹のカエルがいます。


片眼鏡をかけているのは俳句が得意なダルマガエル。
腰に温度計をぶらさげているのは気象予報士のアマガエル。
そして化粧回しをつけたお相撲さんのウシガエル。


みんな、お殿様になりたいだけあって立派な顔つきでした。