「はぁ……」
ローラ・ヨーウェンは、ため息をついていた。
いつも明るくて陽気な彼女にしてみたら、珍しいことだ。
ローラの住むラルダール国は、春を迎えていた。
いちばんあたたかで穏やかな、四月。
天気も上々で、こんな日はきっとピクニックなんかしたらとても気持ちがいいだろう。
なのにローラは、ため息ばかりだ。
「ローラ。なぁに、さっきからため息ばかりで」
この時間はいつも仕込みの手伝いをしてくれている、幼馴染で親友のマルグリット・ラズールが心配そうに顔を覗き込む。
ローラは背中までのストレートな黒髪をいじっていたが、はぁ、と今日何度目かわからないため息をまたついた。
「ああ、枝毛だ。ストレスかなぁ」
「枝毛くらいわたしだってあるわよ。そんなことで悩んでたの?」
「そんなわけないじゃない。手に入れちゃったからなの!」
「手に入れた? なにを?」
ローラはスカートのポケットに忍ばせていた、一枚のはがき大の絵を取り出してみせた。
マルグリットはそれを見て、目を丸くした。
「ユリウス殿下の肖像画じゃない! どうしたの、これ!」
「ゆうべ常連さんにプレゼントしてもらったの」
「プレゼント!? こんな高価なものを!?」
ローラ・ヨーウェンは、ため息をついていた。
いつも明るくて陽気な彼女にしてみたら、珍しいことだ。
ローラの住むラルダール国は、春を迎えていた。
いちばんあたたかで穏やかな、四月。
天気も上々で、こんな日はきっとピクニックなんかしたらとても気持ちがいいだろう。
なのにローラは、ため息ばかりだ。
「ローラ。なぁに、さっきからため息ばかりで」
この時間はいつも仕込みの手伝いをしてくれている、幼馴染で親友のマルグリット・ラズールが心配そうに顔を覗き込む。
ローラは背中までのストレートな黒髪をいじっていたが、はぁ、と今日何度目かわからないため息をまたついた。
「ああ、枝毛だ。ストレスかなぁ」
「枝毛くらいわたしだってあるわよ。そんなことで悩んでたの?」
「そんなわけないじゃない。手に入れちゃったからなの!」
「手に入れた? なにを?」
ローラはスカートのポケットに忍ばせていた、一枚のはがき大の絵を取り出してみせた。
マルグリットはそれを見て、目を丸くした。
「ユリウス殿下の肖像画じゃない! どうしたの、これ!」
「ゆうべ常連さんにプレゼントしてもらったの」
「プレゼント!? こんな高価なものを!?」