「え?!どこ行くのよ」
遥人くんがいきなり車椅子を押し始めた
「ほら」
「ここって」
「未来が走ってたトラック」
3年前まで毎週のように通ってた陸上競技場だった
「噴水広場があったなんて知らなかった」
「ふっ、だろうな」
私たちはギャラリーまで上がった
「俺、未来と出逢うまで将来とか曖昧だったんだ。けど陸上が大好きでまた走りたいとか言うの聞いて、思ったんだ」
「去年まではまだ陸上出来ると思ったからね」
「だろうな」
苦笑いする遥人くんの横顔はすごく綺麗だった
「将来、未来みたいな人たちのために車椅子陸上作る」
「アッハハ!」
「なんだよ!」
真っ赤な顔して遥人くんが私を見た
「ううん、夢みたいだなって」
「夢?」
「ほんとに、それがあったら、嬉しいなって、思ってたから」
「そうか。それならよかった」
