「ありがとう、ございました」
部屋のドアを開ければ一人の世界
落ち着く場所
「よい、しょ」
車椅子から降りる
少しは足を動かさないと
進行を遅くしたいし
『.•*¨*•.¸¸♬????•*¨*•.¸¸♬•*¨*•.¸¸♪』
テーブルに置いてあるスマホが鳴った
車椅子の高さに合わせてあるから
立っていると少し低い
「もしもし」
『あ、未来?』
「奈津?」
『そー!久しぶり!』
「おひさ!どうしたの、いきなり」
『どうしてるかなって』
奈津【なつ】というのは、中学から仲良しだった子で
バレー部所属
運動神経は私とクラスの1、2を競っていた
「ほんとに、それだけ?なにか、あるでしょ」
『さすが未来!
今度の日曜日に会いに行こうかと思って!』
「そーいう事か。いいよ奈津なら」
施設に来てから
初めて学校の人と会うかも
車椅子姿、変じゃないよね
『やったね!じゃあ時間とかはメールするね』
「これも、メールでいいのに」
『未来の声が聞きたかったの』
「ふふ、ありがと」
『じゃーね!』
元気いっぱいの奈津は電話だけでも
分かる
とっても幸せなんだね、今
