彼と愛のレベル上げ

もやもやする気持ちのまま会議室に戻った。

席に戻るなり鈴木さんは、「主任何だって?」と聞いてきた。

え、そうだよね。
わざわざ廊下に呼びだして話をするなんて重要なことなんだろうと思うよね。


「えと、」そう言ったきり言葉が続かなくて私は焦っていると、休憩の終わりを告げられてあっさりその話題が強制終了させられた。


助かった――


鈴木さんはちょっと不思議そうな顔をしていたけど、うまい言い訳なんて全く浮かばなかった。

仕事の事ならそのまま引き継いだ鈴木さんにするべきだしわざわざ私だけっていうのはおかしい。


主任もなんで外まで連れだしてまで言ったんだろう?

内容が内容だけに、その場でっていうわけにはいかないけれど。
でも昨日その事を話す時間だってあったはずだし、その後に決まったとしてもメールだってあるのに。


さっきの彼女の態度に頭の中で何かがくすぶっているけど、なんとかそれを追い出そうとするのに前方にはその二人の姿。

結局勉強会が終わるまでそのもやもやと闘いながら、メモは取ったものの集中できないままだった。


勉強会だっていうのに……これでレポート提出できるんだろうか






定刻通りに勉強会が終わり、そのまま帰る予定になっている鈴木さんと本社ビルの前で別れた。



主任の家のある駅までは地下鉄でだいたい30分ぐらい。







のはずだったのに
なぜか着いたら一時間以上経っていた。

ドキドキしながら鍵をあけると電気がついていて……

男物の靴がある?


まさかっ
主任の方が早く帰ってきてるとか?


その音を聞こえたのかリビングから携帯を持ったままの主任が慌てた様子でやってきた。


「モモ、どこにいたんですか」


あ、ちょっと怖い顔。
怒ってる、よね。

どこっていうか……


「あの、普通にきたんですけど……」

「どうやったらあそこから一時間以上もかけられるんですか。……もう二度と一人で歩かせませんから」


一気にそう言ったあとできつく抱きしめて「心配しました」と主任は小さな声で呟いた。