「ぶ、っ部長っ?!」

「あぁ、堂地君にも二人を行かせる旨、伝えてあるから何かあったら彼に」

「や、あのそんな…」


主任にも言ってある?
そんなの私は聞いてない。

仕事の事だから当然自分の上司から聞くのが筋だというのはわかるけど、でも。


「じゃ鈴木君も頼んだよ、話はそれだけだから悪かったね時間とらせてしまって」


こう言われた以上この場にいる事は出来ない。

鈴木さんとその場を去り、二人一緒に思いっきり裏でため息をついた。


その場でそうしているわけにもいかず、二人一緒に席に戻った。
彼の担当になってから私の席は鈴木さんの隣の席になっている。


「はぁー、どうしようか、天ケ瀬ちゃん」

「や、どうしようって言っても」

「だよな。ていうか俺も順番初めて回ってきたんだけど」

「う、ん。」


そうだ。持ち回りになってから鈴木さんに順番が回ってきたのは初めてだ。
それなのに私と一緒で本当に大丈夫なのかな?


「まぁでも、何かあれば堂地主任もいるから聞きゃーいいよな」

「え?あ、うん。そう、だね」


付き合い始めたのは主任がここから異動になった後だからわざわざ言う必要もない。
だから主任と私が付き合ってるのを知っているのは社内では望亜奈さんだけ。

当然同期の彼、鈴木さんも知ってるわけはない。


「行く前に一度主任に挨拶メールいれとくけど、天ケ瀬ちゃんもいれといて」

「あ、うん。…わかった」


まさか、私が本社に行く日がくるなんて思いもしなかった。

もしかして主任もこの事知ってる?

だけどメールで聞くのもおかしいし、お休みの日までまだ少しある。


とりあえず今日の仕事が大事。


私はいつもの業務にかかるためにパソコンの電源を入れた。