次の日。
望亜奈さんが帰った後のやり取りと潤兄に聞いた事を話しながら望亜奈さんにも聞いてみた。


「望亜奈さんて、今の彼の過去とか気になります?」

「んー気にはなるけど」

「やっぱり気になりますよね?」

「でも、知りたくないかなぁ」


え?
気になるのに、知りたくないの?


「どうして、ですか?」

「だってー過去の女に嫉妬した所でその人には綺麗な想い出しか残ってないから勝てっこないし、今一緒にいるのは私だからね」

「なんかそれって、自分に自信があるからそんな風に言えるんですよね?」

「やーなんて言うかねー。ほら、私なんてバツイチでしょ?さすがにその辺は言わないとまずいから彼には最初から言っちゃってるけど。私なんかよりも条件いい女子なんてたくさんいるわけよ。でも一緒にいてくれてるのはそういうことでしょ?」


望亜奈さんは十分魅力的な人だと思う。
綺麗系だけどさっぱりしてて、イケメンに弱いはずだったけど最近ではそれもすっかりなくなってるし。
こうやっていつも相談に乗ってくれる頼りがいのあるところも。


「私なんて、何一つ自分に自信のあるところなんてないんです。あいかわらず主任の隣にいるのは私でいいのかなって思っちゃうし。だから、主任の事少しでも知りたくてそれに見合う人になりたくているんだけど、全然ダメで」

「でも、そんな桃ちゃんを選んだのは主任でしょ?」

「え?……そう、ですけど」

「仕事もプライベートも知った上で主任が選んだのは桃ちゃんなんだからもっと自信持って」

「……でも」

「それにさ。相良さんも言ってたように知らなくてもいいことあるし、主任が知っていて欲しい事はちゃんと言ってくれると思うよ」

「そう、なんですかね」

「まだ桃ちゃんたちは始まったばかりじゃない。だからゆっくり知っていったらいいと思うわよ?」


この前主任にも言われたばかりなんだけど、それでも離れてしまうと少しでも知りたいって思っちゃうんだ。

だって、もっともっとたくさん主任の事、知りたいって心から思うから。


「何でも知りたいって思うのは欲張り?」

「欲張りじゃないわよ。みんなそうだから。だからこそ主任に教えてもらいなさいって事」

「う、…そうですか」


自分でも持て余し気味のこの気持ちをどこに持っていけばいいのか。
誰か、教えて欲しい……