潤兄が来ると、二人は仲良く帰っていった。
私たちもそのままお店を出て外を歩く。


「ごめん桃、遅くなって」

「ううん、潤にぃ、仕事忙しいなら無理して迎えに来なくてもいいからね?」

「…あぁ、別に無理はしてないから」


この前の事もあったし、なんとなく雰囲気が悪くなったような気がして、明るい声で潤兄に話しかけた。


「ね、潤にぃ。おなかすいてない?」

「あ?あぁまだメシ食ってないな」

「潤にぃのおごりだったらご飯付き合っちゃうけど?」

「なんだよ、桃。その上から目線な言い方。まぁ付き合わせてやってもいいぞ?」


いつもの潤兄にほっとして、笑う。


「そういえば、さっきの綺麗な人は神代さんの?」

「あぁそうそう。アヤノさんっていうんだけどね?綺麗だよねー。ああいうのをお似合いの二人っていうんだよね?」

「まぁ美男美女ってやつだな」


潤兄の口から美男美女なんて言葉出てくるのは意外だった。
口の悪い潤兄のことだから悪態の一つも吐くかと思ったのに。


「もしかして…潤にぃもあんな感じの人が好み?」

「は?神代さんの彼女?別に美人だとは思うけどタイプじゃないな」


タイプじゃないか。
そういえば潤兄のタイプなんて話聞いたことないな。
美人がタイプじゃないとすると、どういうのなんだろう。


「へー。潤にぃとだったらあんな感じの人が似合いそうなのに」

「美人は気が強そうだしな」

「え?そうなの?」


まるで経験したみたいに言う潤兄。
美人と付き合ってひどい目にあったとか?


「まー実際はわかんねーし、一般的な話だけどな」

「ふぅーん」

「みんながみんな美人が好きとは限らない」


それでも、もう一度美人はタイプじゃないことだけは強調する潤兄。
美人が好きじゃない人もいるんだ?


「そんなもんかなぁ?」

「そんなもんだよ」


あいかわらず、潤兄の好みのタイプもわかんないし想い人のこともわからないまま。
だけど、潤兄から話してくれるまでやっぱり触れるべきじゃないんだよね?