アヤノさんと入れ替わるように望亜奈さんは彼からのメールを見て帰って行った。
さっきまで望亜奈さんがいた場所にアヤノさんは座ると話し始めた。


「自分と一緒じゃなかった過去なんて知っても何も楽しくないわよ?」


自分と一緒じゃなかった過去?
朔也さんたちは大学時代からの知り合いだけど、仲良かったわけではないのかな?


「まぁ知識として知っていてもいいけれど、大学時代の朔也なんて私だったら知りたくもないわね」

「ミレイもきつい事言うね?」


苦笑いしながらアヤノさんの隣で言う朔也さん。


「ええ、だって朔也が女の子と一緒にいるところしか見てなかったし」

「そんなことはないと思うよ?」

「あら、じゃあ私はそんな時ばかり見ていたのかしら?」


二人のやり取りをハラハラしながら見守るしかない私。


「ね?いい事何もないでしょう?過去に嫉妬したってそこから生まれる事は何もないし」

「ミレイ、もう勘弁してよ」


仲がよさそうに見える二人だけど、二人にも色々あって今のこの関係があるのかもしれない。
こういうこともそういう信頼関係があってこそ言いだせる事、なのかな?


「今度四人でいるときにお話ししましょう?それなら堂地くんだって、反論のしようがあるしね」


反論するような事があるんだろうか?主任には。


「ミレイ、言葉は上手に使わないと。また桃華ちゃんが不安になっちゃうからね?」

「あら、また言葉選び間違ったかしら?私」

「まぁ間違ってはいないけどね、反論って言うとまるでなんかあるみたいに聞こえるからね」


朔也さんがそう言ってくれたけど、不安は取り除かれない。


「だからさ、桃華ちゃんも聞くなら本人に聞いてもいいけど、今見てたみたいになるよってこと」

「ええ、それに過去よりも今の方が大事だと思うわよ?」

「あのっそれはわかるんですけど、なんていうか。主任がここまでつくられてきた過程を知りたいって言うか」

「桃華ちゃんのその気持ちもわかるけれど……」


そう言って二人は顔を見合わせて、少し困った表情。


「その辺の事は二人の事だしね。どうしても知りたいなら純哉に聞くといいよ」

「…はい」


そこで潤兄がきて話はそれきりになってしまった。