「モモ?中に入っても?」

「え?」


主任の腰に手をまわしたまま抱きついた状態の私。


「あ、私ったら、あの。すみません……」


そして離れようとしたら手を掴まれて、


「そんなに慌てて離れられると、寂しいじゃないですか」

「…え?でも、」

「早くモモに触れたくてメールもしないで帰ってきたのに、離れたら意味ないから」


私の手を握りしめて言う主任。


私だって指折り数えてこの日のこの時間を楽しみにしてた。
触るっていうか触れたいって思ってたのは私も一緒だから、


主任の手の上に自分の手をそっと重ねて


「私も。ジュンさんとずっとこうしていたいです……」


素直な気持ちを告げる。
そう伝えるだけで胸が一杯になった。


「時々、モモはこういうことしますが、」


こういうこと?
私から手を重ねるとかそういうこと?


「……今日はすぐにでも手出しできる場所で安心ですね?」

「なっ、そ、そんなつもりで、言ったんじゃ」


手出しとかすぐ言うし。
だってほんとにそういうつもりじゃなくて
そういうつもりじゃないないっていうか

あれ?えと、いや。
さっきまで触れたいって思ってたの事実なんだから……

だってほんとに
ずっとずっと主任に触れたくて
そばにいたくて


「だって、ずっと会いたかった…カラ」

「モモ?」

「声を聞いたら会いたくなって、この部屋にいると早く帰ってきて欲しくて、わがままなのはわかってるけど…でも」


そこまで言ったら喉の奥が熱くなってきて、それ以上言葉をつづけたらきっと涙が溢れてくる。


私が主任を握りしめていたはずだったのに、いつのまにかその手をひかれて主任の腕の中に逆戻り。

今度は後ろから抱きしめられるようにして閉じ込められた。

私のおなかの所に手をまわし、頭を肩の上に乗せておもいっきりぎゅっと抱きしめられた。


「モモごめん。寂しい思いさせて……」


そして優しく頭を撫でられ、後ろから髪にキスされた。