リビングでタルトをいただきながら伯母さんとお母さんはお料理の話しをしていた。

この年になっても二人はすごく仲が良くて、女子高生なみに話し続けている。


「そうそう桃華ちゃん、潤季に引越しの手伝いさせるから。力仕事ぐらいしか出来ないけど使ってやってね」

「はい、ありがとうございます」

「潤季ちゃんごめんなさいね、日にち決めたのにどうしてもその日は手伝いに行けなくなって……」

「いや、だからお母さんはいいってば。重いものなんて持てないでしょ?」

「おばさん、大丈夫ですよ。ちゃんと責任もって引っ越し先まで届けますから」


いやいや、私は荷物じゃないし。

それにちゃんと一人で出来るし。


「潤季ちゃん、よろしくね」


私では信用ならないらしい。

この家から引っ越しするときも両親とも引っ越し先についてきて、お母さんなんて荷ほどきまでしてくれたっけ。

懐かしいな……あれからまだ三年しかたってないのに。


「なーんか、桃華ちゃんお嫁にいっちゃうみたいで寂しいわ」


いやいや、蜜柑子伯母さん。

お嫁に行くんじゃなくて、ただの引っ越しですっ


「ただの引っ越しですから……」

「だって一緒に暮らすんでしょう?」


は?

「暮らしませんっ、主任は東京に住んでますし、」

「あら、でも留守を守る妻みたいでなんかそれもいいわねー」


蜜柑子伯母さん……

すっかり妄想の世界にとんでる

こうなると止められないから放っておこう。



それから、伯母さんたちも明日はお墓参りにいかないといけないからと早々に帰っていった。

私もまだ引っ越しの準備の続きをしたいから早めに家に帰ることにした。