「…そう、ですか。やはりあの時に変えておけばよかったんですかね」
前に朔也さんに一度言われた事もあったけど、あれはまだ……
「付き合い始めた日に」
「あ、でもあの頃って…」
私はまだジュンさんと呼べず。
ジュンさんに丁寧だけど有無を言わさない言い方のおかげでなんとか先に進めた気がする。
だからジュンさんだけのせいじゃない。
「ではモモが修行を終える日までに普通に話せるように努力します」
「え、」
努力だなんて言葉。
いつもジュンさんが人知れずしてる事で、それを私の前で言葉に出してってくれた事がうれしい。
「モモと一緒に修行ですね」
「ジュンさんに負けないように頑張りますね」
それから一緒にリビングに行き、コーヒーを飲む。
お昼御飯の時間だけど、二人とも朝を食べて寝ただけでまだ空腹にはなっていなかった。
「富貴子さんの家に行ってから、お参りいきますか?」
「はい、これからお世話になるのに準備するものも聞かないとだめですし」
仕事が始まってから最初の土日に引越しをと言われている。
いくら部屋がたくさんあるとはいえ、準備も必要だ。
「それはたぶん、ないと思いますが」
さっき約束したのに話し方が全然変わってない。
むしろさっき言った事が夢だったのかと思うぐらい今まで通り。
本人無意識?
「ジュンさん?」
「?」
なんで名前を呼ばれたのかさえわかってない。
やっぱり無意識。
「さっき言ったばかりなのに、言葉づかい……」
「あぁ…モモが修行始めるときに一緒はじめるということで」
しれっとして言うジュンさん
しまいにはさっき言った事さえ取り消してしまうんじゃないかなんて勢い。
だけどやっぱりいつかはって思うから。
「急にはムリですよね?」
「そうですね」
急にジュンさんの声のトーンが落ちた。
あれ?ちょっと反省してる?
「じゃあメールとか電話からはじめてみるのはどうですか?」
「あぁそうですね」
ニッコリ笑って同意してくれたジュンさん。
楽しみだなぁ。

