お母さんにはジュンさんと一緒に行くと伝えていたけどそれだけ。


「だって堂地さんと一緒に来るって言ったらそれしかないでしょう?」

「そっか、わかってたんだ」

「なかなか顔出せなくて申し訳ないって連絡はいただいてたわよ?堂地さんから」

「へ?何それ」

「最初にご挨拶に来た時に近々正式にご挨拶に伺いますからって言ってたしね」

「はい?!」

「だって、桃華ちゃんプロポーズにうんってなかなか言ってくれないって」

「ええええええ?!」



何それ。いつの間にそんな話、お母さんとしてたの?


「でも、やっとお返事したのね?桃華ちゃん」


やっとって言うか。ついこの前。
えと、一昨日ですよ?プロポーズされたの?!


「あのね、プロポーズされたの一昨日――」
「あら、お父さんが呼んでるわ。ほら桃華ちゃん早くお茶お出しして」


え、あの。
話途中でしたけど?お母さん……

私はしぶしぶお茶をお盆にのせ、リビングに行く。


「桃華。お茶はいいからそこに座りなさい」

「え?あ、…はい」


お父さんにジュンさんの隣に座るように言われ、お盆を持ったままそこに座る。


「母さんも、」


いつの間にかエプロンを外していたお母さんがお父さんの隣に座るとお父さんは話し始めた。


「堂地さん…」

「はい」

「うちの桃華は一人っ子で随分と甘やかして育ててしまって、この年になっても料理一つまともにできない。それにご存知の通り、まだまだ考えが甘い。見た目通りの子供っぽさでお恥ずかしい限りです。そんな娘では堂地さんに迷惑がかかってしまう。…だからこのお話はお受けすることができない」


「お父さんっ」


なんで?!
子供っぽいのは認めるし、お料理もまだまだ修行中。
だけど、ジュンさんを想うこの気持ちだけは……


「お気持ちはわかりました」

「え?!……ジュンさん?」


どうして?!

さっきは何度でも認めてもらうまではって言ってくれてたのにあっさりとお父さんの言葉に頷いた。

そして先ほど出したお茶を飲んでいるなんて。