少し足取りがおぼつかなくなった私を抱きかかえるジュンさん。


「少し、飲ませすぎましたか…」

「いえ、あの大丈夫…です」


そのまま寝室の扉を開け、そっと下ろされたベッドの上。

その瞬間に望亜奈さんに指摘された事を思い出す。


「あ、そういえばジュンさんっ」


甘い雰囲気をぶち壊すように言う私に怪訝な顔で。


「…なんですか?」

「この前、うなじの所にキ、キスマークっ」

「あぁその事ですか?いつもつけてましたけどね?」

「いつも…?」


それって今までずっと私が気がつかなかっただけってこと?

しかも背中にもって言ってましたけど、望亜奈さんは。

それもずっとってこと?


「冬でも髪を上げる事があるんですか?でしたら今度から違うところにしないといけませんね?」

「や、あの。そうじゃなくて…」

「たとえばココとか?」


いつのまにか外されていたその胸元からのぞいていた場所にきつく口づけをするジュンさん。


「あ、」


上手にできたとばかりにニッコリと笑って見せるジュンさん。


「ここなら私以外誰にも見られませんよね?」


そうだけど、そういう事じゃなくて。

うっかりまた流されそうになっている私に、


「どうぞ、まだ何かあるのでしたら続けて?」


余裕な態度でニヤっと笑い、今度は耳元に口付けてくる。


「そんな事したら、話ができなくな――」
「そんな事ってこういう事、ですか?」


ふぅーって耳元で息を吐いてクスッと笑う。

完全におもちゃにされてる。

わかっていても赤くなる顔やドキドキする胸の鼓動は収められそうにない。

いたずらっ子の顔をしてるジュンさん。それを少しでも崩したくて私からジュンさんの唇に口付けた。

軽く口付けて見ると、ジュンさんはその目を大きくさせて驚いた顔をしていた。

だけどすぐに、口角を少しだけあげて、


「望むところですよ?モモ、仕掛けたのはモモですからね?酔っているかと思って手加減していましたが、その必要はないみたいですね?」


手加減してた?
どうみてもすでに意地悪が始まってましたけど?

こんな意地悪なジュンさんも好きなんだから仕方がない。