「望亜奈さん…」
「ん?」
「私、ジュンさんと並んでこの先歩いてもいいんでしょうか?」
お似合いだとは言い難いはず。
だけど、それでも一緒に居たいと思う。
「聞く相手が違うわよ」
「え?」
「それ主任に聞いてみなさいよ」
拒絶されたら?
一緒に居たいって言うのはそういう意味とは違うって言われるかも?
「でも、」
「その時一緒に好きの先の気持ちも伝えるのよ?」
やっと気付いたその気持ち。
これが愛するってことなんだと。
でも、それを私が伝えてもいいの?
「…それは、」
「桃ちゃん。自分の口できちんと伝えないとダメよ?いつも主任から与えられているだけじゃダメ。主任はそれでいいって言うかもしれないけど…」
そこで一度言葉を切る望亜奈さん。
そうだ、このままじゃいけないんだ。
「私…与えられるだけなんてイヤなんですっ」
「うん、そうよね?だったら…わかるわよね?」
「はいっ」
望亜奈さんの目をまっすぐに見て言う。
私の気持ちが揺れてるから、きっと潤兄がそんな私に気づいてあんなこと……
謝らないと言った潤兄。
謝らなきゃいけないのはきっと私の方。
「相良さんの事だけど…電話取られちゃったんだっけ」
「……はい」
そうだ。
潤兄はあのまま持ち帰ってしまったんだ。
「その事だけど、私に任せてもらってもいいかな?」
「え?」
「…たぶん今日ね、うちの彼と一緒に飲みに行ってるはずだから」
「そう、なんですか?」
潤兄と仲良くなったという望亜奈さんの彼。
二人とも心配してくれたんだ。潤兄の事も私の事も。
「桃ちゃんの事だから、相良さんに謝ろうなんて思ってるかもしれないけどそんなことしなくていいから。今回は全面的に相良さんが悪い」
「でもっ」
「桃ちゃんは主任との未来だけを考えればいいの」
「そんなわけにはっ…」
実際、ずっと潤兄に甘えてきたのは私だし。
一人だけ、明るい未来を考えるなんてこと出来ない。
「数日は携帯ない状態で不便かもしれないけど。返してもらえるようにするから。任せて!」
そう力強く言う望亜奈さん。
望亜奈さんの存在が今の私には心強く感じた。

