彼と愛のレベル上げ

望亜奈さんに半ば脅されるようにして午後時間の仕事をしたおかげか、定時少し前に今日の分を終えた。

本日の報告を担当営業の鈴木さんにメールしてPCの電源を落とす。

定時きっかりに席を立ちロッカールームに向かうと、着替えを終わらせた望亜奈さんが携帯をいじっていた。


「桃ちゃん、おつかれ」

「おつかれさまです、望亜奈さん」

「やるわね。定時キッカリじゃない」


だって、さっきの望亜奈さん怖かったですとは言えず、


「が、頑張りましたから」


苦笑いをして私服へと着替えはじめた。

すると座っていた望亜奈さんが、不思議な事を言いだした。


「主任も見えないからって、やりすぎよね?」

「へ?」

「まさか、今まで気づいてなかったの?」

「何を。ですか?」


立ち上がった望亜奈さんは私の項をスーっと撫でて、


「ココ、キスマークついてる」

「え?!」


触られた場所をバッと手で隠すけど、まさかそんなとこ。

鏡で見たって見えない。

合わせ鏡とかよほどの事をしない限り私は気付かない場所。


「それに、背中もね?」

「えええ?!」

「はは、面白い反応。ほんとに気付いてなかったのね?」


ていうか、ジュンさんたら。

そんな所につけなくても、っていうかキスマークなんて!


「まぁあれよね?それだけ自分の印を刻みたいっていう証よね?」

「他人事みたいに言わないでくださいっ望亜奈さん!」

「いいから、早く行くわよ」


そのひと言でハッとして着替えを素早く済ませるとロッカーを閉めた。



     *****



「おつかれ!」
「おつかれさまです」



ビールと梅酒で乾杯をすると早速本題とばかりに望亜奈さんが口を開いた。


「桃ちゃん、プロポーズされてないと思ってるの?」

「はいっ、だって結婚ていうその二文字出たことないですもん」


結婚なんて言葉聞いた事ない。

婚約指輪のことだって、急に連れていかれたけどそれまでの間に結婚という言葉は結局聞く事は出来なかった。


「桃ちゃんは、結婚してくださいって言われてないからプロポーズされてないって言いたいのよね?」

「はいっ」