「相良さん。それはあなたが言うべきことではない」
「……っ!」
「違いますか?それは私と桃の事であって、相良さんには関係のない事です」
うわ。ジュンさん、言っちゃった。
丁寧な言い方だけど、要約すれば潤兄は口出しすんなってことでしょう?
片眉をあげて、潤兄は、
「俺は桃の事を思って――」
「モモが。それを貴方にお願いしましたか?」
ぐっと唇をかみしめる潤兄。
「どうですか?モモ?」
「え、」
急に私に話を振られて言葉に詰まる。
そのまま顔を見つめられて私の答えを待って言う事がわかる。
だから私は、
「私がそうしたいからしてるの。…私がジュンさんと居たいから」
その答えを聞いた潤兄はため息をつくと、
「桃は全然わかってないよ」
そう言って手もとのビールを煽った。
わかってない?
私がジュンさんと一緒に居たいと思う事は間違ってるの?
私がジュンさんの隣に並ぶのには相応しくないから?
それは高望みだってこと?
「…もしもこの先、桃がこの人と付き合い続けるとしたらあの街は捨てることになるし、両親とも離れて暮らす事になる。それが桃にできるのか?」
……!!!
ジュンさんと付き合い続けるという事はそういう事。
この先の関係を望むのであれば東京に住むという事。
頭ではわかってた。
だけど、それが現実になった時に私は……?
「…わかってる、よ」
絞り出すように言ったけど、実際の所わかってないのかもしれない。
私は一人っ子だし、今は一人暮らしをしてるとはいえ月に一度は実家に帰ってる。
それに今ではジュンさんのお婆様の家での料理教室もあるからお母さんとはそれ以外にも会ってる。
それが季節ごとになったり、お盆とお正月だけになったりするってこと、だよね?
「…それをわかっててコイツと付き合い続けるんだ?」
潤兄がジュンさんのことを呼ぶのに『堂地さん』から『あなた』になり、『コイツ』にまでなった。
それほどにジュンさんの事をよく思っていない事が伝わってきた。
潤兄の言いたい事もわかる。
「でも私は――

