彼と愛のレベル上げ

ピクリと動いた眉。そして、


「言葉の意味をよく考えてから使った方がいいですよ、堂地さん」

「其方こそ、良く考えた方がいいですね」


そして口角だけ上げて挑戦的に微笑んだ主任。


「あ、あの――」

「あぁそれと、カバンありがとうございます。お渡しいただいても?」


空いている方の手で潤兄に握られている私のカバンをさして言う。

唇を一度真一文字に固くつぐんでから潤兄は主任のその手にカバンを渡しながら


「では明後日に」

「ええ、楽しみにしてます」


もうっ主任。

だから、そんな言い方しないでいいからっ


だって潤兄すごい怖い顔。っていうか表情が……



何を思ってここまで来て

何を今考えていて

明後日までの時間をどう過ごすのか


気になるけど、それをここではしていけない事はわかってる。

かといってあとでメールや電話して聞くって言っても、なんて聞いていいかわからない。

だって今日まで潤兄のこと、少なからずさけてたわけだし。


「あの、潤にぃ、送ってくれてありがと。その…気をつけて」


そう言うのが精いっぱいだった。




主任の住む沿線の電車に乗り換えると、


「あの、ジュンさん?お仕事大丈夫だったんですか?」

「え?」

「あの、私。自分でメールしたんじゃないのでなんて書いたかわからないんですが……」


するとやっぱりって顔で主任は一度目を伏せると、


「モモの文章じゃない事なんてすぐわかりましたよ……」

「え?」

「……だから来たんですよ、ここに」

「え、…そんな……」

「あぁ大丈夫です。仕事はとっくに終わってましたしね」


ニコッと微笑まれて、私が気にしないように気遣ってくれているとわかる。

今週の仕事量を考えたら、私でさえあれだけ残業をしてたんだから主任はきっと……


「無理、させちゃったんですよね…」


そう落胆の声を隠しきれずに言った私に優しく主任が語りかける。


「モモ、……楽しみにしてたんです。今日会えるのを」


そんな風に言われて私が顔を上げると耳元で、


「早く家に帰って思いっきりモモを抱きしめて…―


主任の言葉の途中でぼっと顔が赤くなって、それ以上の言葉を聞きたくなくて


「ジュンさんっ」


電車の中で叫んでた