「メシでも食いに行くか?」
もちろんご飯をゆっくり食べている時間はない。
「あ、っと……」
でも潤兄に謝らなきゃいけないし、わざわざ会いに来てくれたってことはなんか用事があるんだよね?
私が言葉選びに迷っていると潤兄は、
「これから約束だったか?」
「えと……ね」
ハッキリしない私に少しイライラしだした潤兄。
潤兄こういうの一番嫌うのはわかってるんだけど、
「用事があるなら帰るよ」
しびれを切らした潤兄に、やっと答えを見つけた私は、
「え、待って。あのっ、お茶でもいいかな?」
心配して会いに来てくれた潤兄に対して、この場でおわびとお礼ってわけにはいかない。
お茶なら三十分ぐらいで済むだろうし、これから出かけるって言えばきっと大丈夫だろうし。
「別に急ぎの用じゃないから今日じゃなくても」
いや、そうなのかもしれないけど。
でも、なんとなくこのままにしておくのも嫌だ。
「だって、潤にぃ。おとといお迎え来てくれたって…」
潤兄とはいつまでもギクシャクした関係でいたくない。
本音を言えば、この前潤兄が言った事も「どうかしてた」なんて笑って訂正してくれないかと願ってる。
「あぁ気にすんな。ちょうど仕事がその時間に終わったから行ってみただけだから」
そうだ。
いつだって潤兄はこういう言い方をしていた。
でもそんなの、きっと嘘。
いつもその日はきちんと間に合うように迎えに来てくれてたから。
なのになんであの日は潤兄が来ないと思ったんだろう、私。
「でもっ、」
縋るように言葉を続けようとした私に潤兄は軽く笑みを浮かべて、
「とりあえず、駅前のあそこでいいか?」
「うん」
私の気持ちを読み取ってくれたのか、お茶をする気分にはなってくれたのか。
料理教室の帰りによく立ち寄るコーヒーショップ。
そこまでは五分とかからないけど、無言のまま歩く二人。
店について、コーヒーを買って席に着く。
…………
ちょっと、潤兄。
なんかしゃべってよ……

