お母さんとの通話を終えて携帯を置く。



主任たら、いつのまにかお母さんとまで仲良くなっていて。

確かに最初から素敵ねーなんてお母さんは言ってたけど、見た目や私への態度だけでなく、今ではすっかり主任の事信用してる。

いや、信用してくれるのも嬉しいし、仲良くなってくれるのもいいんだけど。

なんていうか……

私の知らない所で色々と進んでいる事が少し、



~~~~~♪



さっき置いた携帯から着信音が鳴りだす。


「はいっ」

『モモ、』

「今日もお仕事おつかれさまです」

『ん、』


あれ?
主任、なんか様子がへん?


「あの?どうかしました?」

『うちに来てもらう話ですが、』


主任のおうちにご挨拶に行く話よね?

なんか、あったのかな?


『申し訳ないんですが、年内は厳しそうです』

「そう、なんですか」


あ、いけない。
残念そうな声出ちゃった?


『大事な事は早く済ませておきたいんですが』

「でも、ほら、年末ですし何かと忙しいですから…。うちもキャンペーンはるので私もそれなりに忙しいですし」


なんとかフォローしようとするけど、これじゃまるで私が会いたくないみたいだ。


『その事なんですが、たぶん年末まで帰れそうにないのですが』


え。
ご挨拶はともかく、主任にも会えないの?

申し訳なさそうに言う主任にワガママは言えない。

今までだってきっと無理して時間を作って会いにきてくれていたはず。

それに、私は出張に行った帰りに寄ったのが最後。

あれは出張があったからたまたま時間が作れただけで、私から会いに行ったのは夏に行ったきり。


「あのっ、私が行っても…いいですか?えと、お仕事なら夜だけでもいいですし、」

『モモ?』

「それに……


主任に会いたい。
会ってぎゅって抱きしめて欲しい。


『それに?』

「ジュンさんに会いたい……デス」

『あぁ…電話だと抱きしめる事も出来ませんね』


抱きしめて、キスして欲しい。

いつのまにかこんなにも欲張りになっちゃって
それでも止められなくて、心だけじゃなくて…全部満たして欲しい。


「会いに行っても……いいですか?」

『もちろんです』


こんな約束だけでもそれまでの間頑張れるから。