お風呂から上がり、携帯を確認すればメールの受信を知らせていた。

ん?お母さんからメール?

主任のお婆様の富貴子さんと仲良くなってからお母さんは驚異的なスピードで携帯を操れるようになっていた。

今ではお庭のお花が咲いたと言ってはメールをし、おいしいものを食べたと画像付きで報告もしてくれていた。

今日は何だろ。


『今週の土曜日、富貴子さんの家でお料理会になりました』


今まで少し前には予定を知らせてくれていたのに、今回はなんでこんな急?

それに今週末は主任が帰ってくるから私は……

急いで返信してそれを伝える。


『桃華ちゃんは別にいいわよ、堂地さんと一緒に過ごせば?』


は?
何それ。

意味がわからなくて携帯からお母さんにそのまま電話をする。


「おかあさん?」

『どうしたの?桃華ちゃん』


どうしたのじゃなくてね?
意味がわかんないから


「なんで急にお料理会、今週になったの?」

『なんでって、姉さんも参加することになってね』

「は?蜜柑子(ミカコ)おばさんが?」


そりゃあ、おいしいものが大好きな蜜柑子おばさんだけど。
いくらお母さんが富貴子さんと仲良くなったからって言っても、主任のお婆様だよ?
その富貴子さんの家に行くのにさらに蜜柑子おばさんまでって。


『その事で打ち合わせしてたらすっかり桃華ちゃんに連絡するの忘れちゃってたわ』


え?
忘れてた?
ていうかお母さん。純粋に富貴子さんと会うの楽しみにしてるでしょう?


「…おかあさん」

『だって、姉さんに話したらすごい興味持っちゃって、それを富貴子さんに話したらご一緒にどうぞって言ってくださったから』

「…そ、そうなんだ」

『だから大丈夫よ?桃華ちゃんがいなくても』

「でもっ」

『じゃあケーキでも持ってお茶の時間に顔を見せに来たら?富貴子さんに言っておくから』

「……それでもいいの?」

『いくら二人でいたいって言っても、そのぐらいの時間はいいわよね?』


お茶の時間だけなら二時間ぐらいのものだろうし。
ほぼ半日費やす事を考えれば、


「もちろんっ、お母さんありがとう」

『今日は遅いけれど、明日にも桃華ちゃんから富貴子さんに連絡入れてね?』

「わかった」


さっそく主任にも連絡しなきゃ