彼と愛のレベル上げ

目の前に置かれた新しいお酒。


「相変わらず意地悪なんだな、潤。」


バーテンダーの人がお酒を置いた後で潤兄を見ながらそう言った。

相変わらずってことは、前からの知り合いなのかな?


「ほっとけ。いいから仕事」
「はいはい、ごゆっくり」


仕事っていっても、ここのバーはカウンター席がメインで店内に入れるお客さんの数も少ない。
だから他にどこかにいけるわけじゃないんだけど。

私たちから背を向け、カウンターの一番遠くの人の所に行ったその人。


「潤にぃ、知り合い?」

「あぁ、昔のな」


それしか教えてくれないってことは、この話しはするなってこと。

こういう大人の場所に来ると潤兄はしっくりきちゃってズルイって思う。
潤兄がいなければこんな大人のバーにさえ来れない。

いつまでたっても主任に追い付けないし、まぁ四つ下なんだから当たり前なんだけど。でも、


「潤にぃさ、彼女には自分より似合う人がいるかも?とか思った事はある?」

「は?なんだよそれ」


カウンターで並んで座ってるからこそ聞ける事。
こんなこと、顔を見てなんて聞けない。


「いいから、…答えてよ」

「…どうかな。相手にもよるんじゃねーの?」


すぐに会いたくなったり、自分よりも似合う人がいるなんて思うのは私だけ?


「じゃあさ、会った後なのにすぐ会いたくなったりとかは?」


「……桃。自分の事言ってんの?」


まぁそうなんだけどさ。
でも。


「んー男の人ってどうなのかなぁって」

「だから、人にもよるんじゃねーの?」


今度は明らかにこっちを見て言ったであろう潤兄。

その声に横にいた潤兄をみると、今度は手元のお酒の入ったグラスを見つめながら呟いた。


「……会いたくなるよ。会えるなら、いつだって……」


潤兄、そんなにも切ない恋してるの?