彼と愛のレベル上げ

言われるがままに主任にもらった鍵を出して開ける。

この家の主がいるのにこの鍵を使うのってなんか、嬉しいと恥ずかしいが一緒になった気持ちで。


「あ、あの、どうぞ」


主任の家なのに、どうぞっていうのもなんかおかしいけれど。

主任の後について家に入ると


「モモ、ただいま……」


そう言って抱きしめられる。

胸一杯に主任の香りを吸い込んでからそおっと主任の背中に手をまわしぎゅっとしてみる。

それに答えるようにしてまた主任にぎゅってされると幸せな気持ちに包まれた。



ただ玄関でぎゅってしてるだけなのにすごい幸せってなんかとっても贅沢。



「モモ、コーヒー淹れてもらっても?」

「はいっ、少々お待ちくださいっ」


こうやって、主任にコーヒーを所望されるのはすごく嬉しい。

頼られてるっていうか、役に立ってる?ってちょっとだけ思える瞬間。


パッて主任から離れてキッチンに向かう。


「そうやってすぐに離れるのも寂しいんですが」


そんな言葉が後ろから聞こえてきたような気がするけど、だっておいしいコーヒー早く主任に飲んでもらいたいから。

ちょっとだけ待ってくれてもいいと思う。



コーヒーを淹れて主任の待つリビングへ。

やっぱり今日もトレイなんてないから主任の分を先に運ぶ。


「はい、どうぞ」


そしてキッチンに戻り自分の分を持ってリビングへ。


「トレイとマグを買いに行かないといけませんね」

「え?でもたまにしか……」

「先ほどの話は嘘じゃないですから」


先ほどの話って、この家に住むとか何とか?


「モモがここにいてくれたら、帰ってきたらすぐに会えるし。駅にも近くて安心です」


まぁ確かに。

こんな立地のいい場所はないと思う。職場にも少し早く起きれば歩いてでも行ける。


「あ、家賃もいりませんしね」

「いや、あのっそういうわけには」

「それでは、この部屋の管理人だと思ってくれれば」


お母さんを連れてくれば絶対に気に入るに違いない。

カウンターキッチンと十畳ほどのリビング。寝室と主任の仕事部屋と使ってない部屋が一つ。

こんな広い部屋に高校の時から一人で住んでたなんて……


「でもここってお婆様の持ちものじゃ?」

「あぁマンションは祖母のものですがこの部屋は俺の名義になってます」

「へ?あの、えと?」

「基本賃貸ですけど、ここだけ名義をかえてもらったんです」


ん?お婆様が大家さんってこと?