「主任はちゃーんと桃ちゃんのペースに合わせてくれてると思うわよ?」


主任が?合わせてる?
それって無理させてるってことじゃ


「さっきも言ったけど最初はどうかなって思ってたの。でも今は全然心配してないしね」

「それってどういう…?」

「ん?桃ちゃんはあの頃と比べたらちゃんと成長してるなぁって。それもこれも全部主任の愛の力だなって勝手に思ってんの」

「成長、できてますか?私」

「うん、ばっちり。」


ばっちり。どのへんがだろうか?
だって主任に迷惑かけてるのに?


「……ほんとに?」

「またその話に戻す?だからね、大人っぽくなったし色気も――」
「あーもうっそれはわかりましたからっ」

「だから桃ちゃんは主任を信じてどーんと構えてればオッケーってこと」


主任を信じて?
それは、今頑張ってる最中だけど、ドーンと構えるのはさすがに。


「…はぁ、それが出来ればいいんですけどね」

「ま、急には無理だろうから、それを主任と一緒に積み重ねていけばいいのよ。一緒にね?」


主任を信じる。
そして一緒に積み重ねる。


幾度となく周りの人たちに言われた言葉。
この言葉をきちんと自分の中で消化できた時、今のこの気持ちの色んな答えが出るのかな?


「私っ、頑張ります」

「そんなに力入れないで楽にね?」


張り切って答えた私に望亜奈さんはもう一度アドバイスをしてくれた。


「実は最近色々もやもやしてて、自分でもうまく気持ちをコントロールできなくて。……こんな事今までないからどうしたらいいか」

「……桃ちゃんそういう気持ちになったの初めて?」

「それが口に出して表現できないから困るんですけど。……でも確かにそうですね」

「そっかー。それで答えは出そう?」

「まだわかりませんけど、焦るのはやめました」

「うん、そうね。桃ちゃんにはそれがいいのかもね?」

「はい、自分で答えを見つけるまでは気になりますけどうまくこの気持ちと付き合っていけたらなぁって思います」

「でも、辛くなったら必ず主任に言うんだよ?」


そんなこと主任にいってもいいの?


「でも、迷惑じゃ……」

「たぶん、その答え主任も一緒に探してくれると思うよ?」

「よくわかんないですけど、その時はそうしますね。望亜奈さんありがとうございます」

「いえいえ♪」


焦らなくていい。
辛くなったら主任に相談。

今はそれだけを胸に。
ともかく今のこの状態をうまく付き合っていくしかないんだ