「あーそうそう、主任たらあいかわらず向こうでもあんなに冷たい感じなの?」

「いえ、それが……」


会議の時隣に座っていた人と話している時も笑ってた。
遠くから見てただけだけど、こっちにいたころと違って


「違うの?」

「はい、なんていうか柔らかい印象になってました。普通に笑ってましたし」

「へーそれは…すごい変化ね。桃ちゃん効果?」


はい?私の効果って何?
私は…


「あのままでいてくれた方が良かったです……」

「ふぅーん、…てことは、桃ちゃん以外にも笑いかけてたってこと?」

「……」


言葉にするのもいやだ。
あんな主任見たくなかった。


「なるほどね?それで桃ちゃんは不安になっちゃった?」

「だって、すごくきれいで仕事も出来そうな人と仲良く話してて、私なんかよりもずっとお似合いだったから」


主任だってこんな童顔でちびっこの私なんかより……


「でも金曜の夜から主任と一緒に過ごしてたんでしょう?」

「そう、ですけど……」


でも、それでもすごく不安なんだ。


「なら別にただの同僚なんじゃない?別に気にするような事でもないでしょう?」


どうしたらいいかわからない。

主任と一緒にいれば幸せなのに、こうして離れてしまうとまた不安になる。
だからまたすぐに会いたくなって……
こんな欲張りな自分なんて今まで知らないし、少しは我慢しようって思ってるけど。


「でもっ」

「自分の気持ちをきちんと主任に伝えられるようにしないとね?」


それがうまくいかないからこうして困ってるんだけど。


「それが、上手に言葉にできなくてそんな自分がすごくもどかしくてどうしていいかわかんないんです」

「桃ちゃんは自分の気持ちにも鈍感だからねー」


え、なにそれ。


「そんなことっ……」


ないとは言い切れなくて、そこで言葉が止まる