それとも失敗続きの私に
愛想をつかされたとか……?
あのクッキー……呆れるほど不味かった?
頭がグルグル回ってきて困惑していた。
「えっと……比崎さん。
次どれをやろうか?」
同じペアを組むことになった男性は、
誠実そうだが、何だか印象が薄い人だった。
社長と比べてしまうからかも知れない。
チラッと社長を見る。
楽しそうにペアを組んだ女性と会話をしながら
作っていた。
今日は、マカロンだったっけ……?
楽しみにしていたスイーツなのに
ちっとも楽しくない。
自分の悪いところばかり考えてしまい
手がつかない状態だった。
それよりも目の前が潤んで何も見えない。
「えっ……比崎さん!?」
私は、悲しさと情けなさで
涙が溢れて止まらなかった。



