疑問をぶつけたい

そんな衝動を抑える

本当は怖くて
たまらないのに

聞いてどうなる?

聞いたところで
何も前には進まない

でもこのまま聞けなきゃ後悔してしまいそう

今しか聞くチャンスは
無いかもしれない

もう二度と大介には
会えないかもしれない

私はギュッと拳を
握り締めた

『大介の初恋は私?』

聞いてしまった

私は大介の目さえ
見る事が出来なかった

手に持っていた
ペットボトルに
視線を落としたまま
呟くように聞いた

私の心は張り裂けそうになっていた

大介は私の隣に座った

大介が座ると私の体が
少し揺れる

微妙な位置に座る大介

『そうだよ。千穂は
俺の初恋の人』

待ってたよ、その言葉

それだけで充分

そうだっただけで充分

すごく嬉しいよ

嬉しさで胸が
いっぱいになる

『千穂は?』

大介からそんな言葉が
返ってくるとは
思ってなかった

自分の事しか
考えてなかった