私を救ってくれたんじゃなかったの?

そんな思いばかりが駆け巡る

私の小さな心はメールさえも打てなくしていた

それから私はバイトに向かい、淡々とバイトをこなした

『千穂、何かあった?』

馨さんに話しかけられてドキッとする

馨さんとの関係を断ち切る為に正ちゃんの胸に飛び込んだはずなのに

それさえも、私を騙す魂胆だった

ただやりたかっただけなんだ

『正ちゃんに彼女いるのかわかる?』

遠まわしに聞いてみた

『何?千穂、正の事好きになっちゃった?』

何も知らない様子の馨さんは面白半分に聞いた

『そんなんじゃないよ』

私は否定していた

『いるよ。もう何年もの付き合いになるはず』

馨さんの言葉に絶句した

なぜ?

私を救ってくれた彼は、私を裏切っていた

もうイヤだ

何もかもが

もう誰も信じられない

信じない