『結婚して下さい』

大介の言葉に
私は涙が溢れた

そして震える声で

『はい』

と返事をした

私の返事を聞いた
大介は安心の笑みを
浮かべていた

『泣くなよぉ』

その言葉に自然と
私も笑えた

『本当に私でいいの?』

『千穂じゃなきゃ
ダメなんだよ』

『もう後戻り
出来ないんだよ』

『わかってるって』

『俺はあの人に
千穂を頼まれなくても
ちゃんと幸せにする
つもりでいたんだ。
あの人から奪って
幸せにしてやるって
ずっと思ってた』

大介は噛みしめるように言葉を発していた

私は嬉しくて
涙が止まらなかった

『ありがとう、大介』

ようやく言えた言葉が
それだけだった

言いたい事は
たくさんあったのに

『必ず千穂を幸せに
するから』

『うん。私も大介となら幸せになれる』

『あの人の面影を
消してくれとは
言わない。2人で
あの人を忘れないで
生きていこうな』

きっと大介は辛いんだ

私の中に馨さんの
存在があるのを
知っているから

でも私は違う

大介が好き

大介と幸せになる

もう遠回りなんてしない