立ち止まる私に
恐ろしい知らせが届く

大介からの電話

『馨さんが危ない。
明日病院においで。
俺が会わせてやるから』

とうとう来てしまった

恐ろしい瞬間が

もう二度と馨さんに
会えるとは思っても
みなかった

大介が会わせてくれる

なぜそんな事を?

これまで大介は
馨さんの病状さえ
教えてくれなかったのに

どうやって会わせて
くれると言うのか

傍には奥さんも
居るはずなのに

何より、私は馨さんの
やつれた姿を見て
平常心を保って
居られるのだろうか

旅立つ馨さんに
何て声をかければいい?

私の言葉は伝わる?

本当に最後になるのに
何も浮かんでこない

放心状態のまま
携帯を閉じた