馨さんは相変わらず
忙しそうにしていた

私と会っても、
私を抱かないで眠る

そんなのもたまにあった

それでも私に
会いたがってくれる
馨さんが愛おしい

私を求める彼を
私は受け入れ続けた

疲れのせいか、最近
馨さんは痩せていた

元々あまり太くない
馨さんだった

『ちゃんと食べてる?』

何度も問いかけた

私の心配をよそに
相変わらず忙しい日々の馨さんだった

そして私を抱くと
すぐに眠ってしまう

私は馨さんの体が
気がかりだった

『いつまでも若いフリ
してちゃダメだよ!』

そう言った私を
馨さんは笑い飛ばした

『千穂も若くはない
からなぁ』

なんて冗談で
ごまかされた

そして懐かしい目をして

『初めて会ったのは、
千穂が高校生の時
だったよなぁ』

と遠い目をした

『そうだったね。
あれから何年も
経ったんだよね』

私も懐かしんだ

同じ時を思い出して
いたはず

きっとあんなに切ない
思いをしていた
あの頃を思い出していた