『愛してるよ』

私が一番欲しかった
言葉を言ってくれた

この時だけは、奥さんの存在を忘れた

始めから、馨さんが
愛していたのは
私だけなんだと
自分に言い聞かせた

もう迷いはなかった

自分から連絡
出来なくてもいい

奥さんを抱いてもいい

ただ私と居る時は
私だけを愛して欲しい

何度も重ねた唇に
また口紅をのせる

乱れた髪を整える

こうして私は
部屋を出ていく

一度周りを見てから
部屋を出る

この関係は秘書の
男性には隠せなかった

暗黙の了解とでも
言うのだろうか

何も聞かないけど
わかっていたはず

絶大な信頼を受けている秘書の男性は私に
優しく微笑んだ