入院の必要はないと
薬を処方されて帰った

ママとコーヒーを
飲みながら
テーブルに座った

『誰の子供なの?』

ママが聞きたいのも
理解出来る

私はママが理解して
くれる事を願って
浩太さんの事を
ゆっくり話した

浩太さんが私の前から
居なくなった事を
話した時には
私は泣いていた

『父親の居ない子供を
産むつもりなの?』

ママの口調が
穏やかじゃない

ママは理解して
くれなかったんだ

自分は女1人で
子供を育てる大変さを
知っていたから

私に同じ苦労は
させたくないと言った

それでも私は
産みたかった

浩太さんが残してくれた私の天使

その命を大事に
したかった

いつの間にかママも
泣いていた

お願いだから、自分から苦労する道を
選ばないで欲しいと
ママは訴えていた

私はママの苦労も
ちゃんとわかってる

それでもここにある命を捨てられない

『私、産むから!
1人で育てる!』

それだけを言い残して
家を飛び出した