浩太さんを失って
私は生きる気力さえ
失っていた

毎晩酔いつぶれるほど
酒を飲んで眠った

友達からの誘いも
全て断った

このまま死んだって
誰も悲しまない

こんな私を誰も
愛してなんかくれない

生活の為に働くのも
イヤになってきていた

働かなければ、
生活も出来ない

そう思えば足が
会社に向かう

私はまだ生きたかった
んだろうか

仕事をこなすにも
必要以上の言葉は
発しない

同僚とのランチや
飲み会も断り続けた

上司の誘いもうまく
かわしていた

会社が嫌なわけじゃない

自分が嫌なだけ

こんな自分を
助ける術は何もなかった

失望感でいっぱいの
心の中

涙だけは毎日出る

龍の絵を見つめながら
泣いていた

龍の絵はすぐそこに
浩太さんが居るかの
ように思わせた

浩太さんの背中の龍と
同じ絵の龍

何度も絵を抱きしめた

絵からはぬくもりは
伝わってこない

浩太さんの背中なら
温かくて、安心出来た
はずなのに

龍の絵は私に
安らぎもくれなかった

思い出したくなくて
捨てようとしても
絶対捨てられない

この苦しみは私が
してきた事の
罰なのかもしれない