『ごめん』

ようやく口を開いた
馨さんは謝った

そしてまたワインを
口にした

『私はどうしようもない女だよね。自分から
辞めようって
言ってたのにね』

『それは違う。俺こそ
千穂を幸せにして
やれないくせに
千穂が居なくなると
思ったら、こんな風に
しか出来なくて』

結局離れられない

私はやっぱり馨さんが
好きなんだ

今頃はっきり気付いた

どうしても傍に居たい

許嫁が居るのも
ちゃんとわかってる

私たちに明るい未来が
無いこともわかってる

それでも失う勇気はない

もう馨さんなしでは
私は成り立たない

そして馨さんも私を
大事に想って
くれていたんだ