火照ったままの体で
もう一度キスをする

微笑む私のおでこに
浩太さんはキスをくれた

起き上がり、タバコに
手を伸ばす

いつもの悪い癖

済んだ後にすぐ
タバコに手を伸ばす
なんて、相手に失礼
じゃない

でも私はそうされても
平気な恋愛をしてきた

だから自分でも…

『ごめん』

私の言葉は浩太さんが
手にしたライターの
音でかき消された

『大丈夫だよ。俺も
タバコ吸いたくなる。
全然失礼じゃないから』

私の心の中を読むように浩太さんは言った

『ねぇ、龍見せて』

私は電気をつけた

龍の迫力が増した

力強く描かれている
龍は私を睨んでいた

浩太さんの広い背中が
キャンバスになって
龍を引き立たせていた

『ビックリした?』

私は素直に頷いた

でも浩太さんの龍なら
私は受け入れられる

私は龍にまた唇を当てた

優しく…
優しく…

『龍に惚れないで
俺に惚れてくれよ』

浩太さんが私を
引き寄せた

『龍にやきもち?』

浩太さんは笑った

私は浩太さんだけを
見てるから
と言いたい台詞を
飲み込んだ