浴室から聞こえる
シャワーの音

私は念のため
携帯の電源を切った

またこんな事を
している自分が
哀れで仕方なくなる

浴室から出てきた
浩太さんを見て
私は絶句した

下半身のみに
バスタオルを巻いて
裸の上半身

その肩から背中にかけて大きな龍が舞っていた

タトゥーというより
本物の刺青

浩太さんのがっちりした背中で、龍は存在感を
放っていた

『こんなの背負ってて
ごめんな』

私の視線を察した
浩太さんが呟いた

『あっ…。ごめん。
初めて見た…から…』

何て言ったらいいのか

言葉を選ぶ余裕もない

私は浩太さんに
風呂上がりのビールを
差し出して、足早に
浴室に向かった

ドキドキしていた

龍の立派さに
度肝を抜かれた

そのせいで、今まで
私を抱かなかったの?

そんなので私が
拒否するはずないのに

でも驚いたのが本音

あの顔で刺青背負ったら完全にあちらの人だと
思ってしまう

でも浩太さんは違う

絶対違うんだ

私は何も考えまいと
急いで浴室から出た

そして私もビールを
飲んだ