そのまま恋もせず中学3年生を迎えた

受験勉強に追われ塾に通う日々

このまま中学校生活が終わると思っていた秋

クラスの男の子が私と同じ塾に通うようになった

帰り道も同じで毎日一緒だった

毎日、他愛もない話をしながら帰る

特別な感情を持つ事はなかった




のは私だけだった

彼が私にも伝わるほどの緊張の中

『千穂が好きです』

という言葉を口に出した

志望校が違っていた私達は、うまくいくはずがないと私は決め付けた

それを理由に断った

そんな事ないよ!

と彼は言い続けた

彼の事、嫌いじゃない

ただ恋愛対象じゃなかっただけ

どうせすぐ終わると思っていた

彼の押しに負けて私達は付き合う事にした

彼は私を大事にしてくれた

キスさえもしてこない

そんな純愛

塾の帰り道

いつもと同じ道

ふいに手が触れ合った

彼がようやく私の手を握った

少し汗ばんだ彼の手

緊張が伝わってきた

ドキドキが彼の手から伝わってきていた