私は悩んだ

こんなにも私を大切に
想ってくれている
この人を裏切る
かもしれない

辛い思いをさせて
しまうかもしれない

最初からわかって
いながら、この人の
胸に飛び込めるのか

人を傷付けると
わかっている恋愛

そんなのは恋愛なんて
呼ばない

恋愛とは言えない

『千穂ちゃんの力に
なりたいんだよ』

浩太さんは私を
救いだそうとしている
だけなのかもしれない

私を好きだと言うのは
本気じゃない
かもしれない

でもこんなにも私だけを見ていてくれるなら…

私の事だけを考えて
くれているなら…

私はこの人に
賭けてみてもいいの
かもしれない

『俺を好きになって
とは言わないよ。
千穂ちゃんには
悪い女なんて
似合わない。本当の
千穂ちゃんを
取り戻してあげたい』

浩太さんの眼差しが
私に突き刺さったまま
離れなかった

私は硬直したまま

何度も浩太さんの目を
見ては、またそらした