あれから何度も
大介からの着信とメール

全てを無視した

『俺は千穂を愛してる』

そのメールが届いてすぐ大介の名前を
拒否リストに登録した

早く私を忘れて
欲しかった

私を大介の中から
消し去って欲しかった

そして私の中からも
大介を消したかった

消さなきゃいけなかった

もう忘れなきゃいけない

大介を忘れようと
必死になればなるほど
大介を思い出してしまう

馨さんと正ちゃんに
愛を求めても無駄なのはわかっていた

それでも抱かれている
間だけは忘れられた

だから何度も求めた

自分からでも求めた

馨さんは私の異変に
また気付いた

『失恋でもしたか?』

その言葉が突き刺さる

『そうだよ』

躊躇いもなく答えた

冷たく言い放った

タバコを持つ私の手は
微かに震えていた