「ちょっと可愛いからってこれは調子に乗りすぎだろ〜? こっちが下手に出てりゃいい気になりやがってっ」
と、思い切り拳を振り上げてくる男。
うぇ、外ってこんなやつ多いわけ?
「簡単に手ぇ出すとモテないゾ☆っと」
その拳を軽くいなし、男を背負い投げする。
地面とごっつんこした男は“うぐっ”と呻いて気絶した。
「あれ、こんなに弱かったっけ? 男って」
まだ私は指の一本も捻挫してないぞ?
「最近の男共は虚弱体質なんだね? ねえ? 残りのミナサン?」
私が残りの取り巻き共を見ると、もう既に後ろ姿しか見えなかった。薄情な奴らめ。
「あーーー。外なんかに出るからこんな事になるんだよ……。これだから外は嫌い。ゲームしたい寝たいごろごろしたいぃぃ……」
ふと、自分の髪が目に入る。
いつもは白いんだけど、今は黒のウィッグを被せられている。
長さはいつも通り腰までだけど、やはり慣れないものは慣れない。
アイコンタクトは苦手だから目は赤いまま。
「引きこもり生活が長かったからか、独り言が増えてるなぁ」
おっと、これも独り言だ。変に思われないように気をつけないと。