別にオレは、如月さんのハートなんかゲットしていないんだけど。

 栗田の口からは如月亜留の名前は出なかったけど、男子の憧れの彼女って言えば本田沙耶と如月亜留の2人を指すのだ。
 
 「ちょっとお前、ツラ貸せ」

 穏やかではない表情の八乙女さんが休み時間、オレを校舎屋上へと連れて行った。

 屋上にはマキさんもいた。
 オレの顔を見るなり目を細めニヤリと微笑むマキさん。

「フフ、しぶやくぅ〜ん」

「うん? うん、なーに?」

 マキさんたらニヤニヤしながらオレの顔をジロジロ見るんだよなー。
 オレは緊張して思わず引いてしまう。