いつの間にかの君

「見当たりません」



赤に染めた刈り上げのようなサッパリとした髪型。

黒のツリ目が特徴の早乙女がそう抗議しようとした直後、天音がそう言った。



はちみつ色の綺麗な長い髪を1つに束ね後ろでまとめた髪型。

琥珀の様な瞳。



優しい、まるで天使の様な…っではなくて。



「姫の珠緒が攫われて、それを聞いた途端すぐ一人で出て行って」



姫が攫われて…。

「どこか目星は無いのか?」



「…ありません」



「そうか」



多分今、私は彼らにとって恐ろしいものに見えているだろう。



焦っている。

余裕がないからな。



日頃抑えられている形のない雰囲気が漏れている。

それは裏社会特有というかそんな感じのもの…。



なのに天音はそんな私と目を合わせて伝えてきた。



その顔は情報が無かったからか悔しそうだったが、目は反らさない。



「分かった。ありがとう」



抜かされそうな高さの頭をなでなでする。

サラサラとした髪は触り心地が良かったりする。



それも2秒程で、私は騒がしくなりつつある桜凛の倉庫を駆け抜け、

先程のメンバーが固まってるのを尻目に、私はもう一つの場所へ向かう。



多分ここまでで、数分程度も掛かっているだろう。