玄関に掛けていたメンズの黒パーカーを着た以外には、

普段着の和服のまま家を出た。



「クソっ…」



バイクに乗って走り出し、直行で向かうのは桜凛。



桜凛の今のメンバーとは音は出ないようにしたものの、

見えない訳もなく近くを歩いていたメンバー2人に見つかった。



「!」

「止まれ!」



そう言われるがほぼ無視同然に桜凛の倉庫の扉前でギリギリ止まる。

滑り込みといわれても今回は何も言わない。言えない。



「な!?」

「!そのバイク!」



…?おかしい。



抗戦中ならバイクがごった返しているはずだ。

だが綺麗に駐輪場に並べられている。



そもそもあのメンバーもだ。



「「!」」



下っ端だが、全く緊張感がない。

やけに目がキラキラしてるのは置いておくにしても、ピリピリしていない。



聞くしかないな。

5秒程度でそう考え、バイクを降りて止める。



鍵を抜いてそのまま倉庫の扉を開ける。



急いでるので騒がれる訳にもいかない。

開けると間もなく走り、階段を上がって幹部室に入る。



ーバンッ



今度は止まらないといけないのもあり、扉が開くと音がした。



「「「「!?」」」」



総長の天音。

幹部の早乙女、橘堂。



彼らは勿論桜凛の幹部達。

見慣れない女子が居るが、今は良い。



光がいない。

それが分かったからな。



「光はどこだ」



淡々と言った。

全員私の登場に驚愕していた。



「なっ、アンタそもそも誰…」

「どこだと聞いている」



急がないと…。